今年は「聴覚」の年だそうです、ご存知でした?


 現在日本語で読む事の出来るトマティスメソッドの本は全て絶版になってしまっています。幸いインターネット上で古本が当り前に探せる時代ですから「最強の外国語学習法」村瀬邦子著 も、「モーツァルトを科学する」アルフレッド・トマティス著 も、「人間は語学の天才である」同著 も、「トマティス流 音の子育て」篠原佳年著も、探せば手に入りますが。
 トマティスメソッドが日本に上陸してから20年の今年、NPOマティスから出版する予定なのは「聴覚トレーニング」に関する本です。発達にでこぼこのある子どもたち、それを何とかしたいと思っている保護者/関係者の皆さん、なんかうまく行かない原因が音とか耳とか聞く事とかにありそうだと感じている大人たち、困っている人はたくさんいます。そんな人たちが読んで納得、その内容を伝える事で相手に理解してもらえ、実際に家で出来るエクササイズも載っている本、そんな本を書店の棚に並べたいと心から思って只今執筆中です。
 今年は「聴覚」の年だそうです。たくさんの様々な発声本が出版される事でしょう。「これをすれば魅力的な声になる」「これを守れば就活に有利な声が出る」「これでモテモテ声になる」「ビジネスに活かす強い声・魅力的な声」「あなたの発声ココがまちがってます!!」「営業職なら勝ち声で喋れ」・・・。どんな本でも有りですね、考えるのが楽しくなってきました。こっちを出す方が売れるかしら?
 けれどトマティスメソッドの発声コースで学ぶ発声は「有利な声」「勝てる声」「モテる声」とかそういう他人より高く、他人より早く、他人より効率的に、そんな発声ではありません。その人がその人である為に。その人にしか出せない本当の響きが聴こえるように。そしてその響きがその人から発せられて相手に届くように。共鳴、共振、交響する事をめざす発声です。それは何よりも自分自身を緩ませ、世界との繋がりを感じさせて幸せにするような発声です。
 良く聴く耳ができないと良い声は出せません。そのために発声の体操があり、聴き取る訓練があります。気持ちの中にあなたをブロックしているものがあれば、それはこの「自分の出す音」でゆっくりゆっくり取り除かれて行きます。NPOの長い名前に書かれているように、トマティスメソッドは「聴覚」と「心理」と「発声」の繋がりに付いて長い間研究してきました。学際的である為になかなかどこの学会にも理解してもらえない時代もありましたが、今、世界がやっとそこまでたどり着いて来たと言う実感が、私たちトマティスカウンセラーにはあります。